特集 関節が痛いんです!─コモンからレアものまでの診断と治療
【関節痛で疑うコモンな疾患】
結晶誘発性—痛風,偽痛風
高杉 浩司
1
1中部ろうさい病院内科
pp.344-347
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200181
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Case
患者:86歳,男性.
現病歴:腎硬化症による慢性腎臓病(血清Cre 3.0mg/dl)で外来通院中の患者が,来院2日前からの悪寒戦慄,38.9℃の発熱で来院した.血圧116/61mmHg,心拍数71回/分,SpO2 94%(room air),呼吸数16回/分.右季肋部に圧痛を認めた.
治療と経過:胆囊炎としてアンピシリン/スルバクタムで治療を開始された.治療開始の翌日には36.7℃に解熱し,全身状態は改善し,食事も再開することができた.しかし,入院6日目の夜から39.2℃の発熱が出現した.血圧 140/70mmHg,心拍数66回/分,SpO2 99%,呼吸数18回/分,診察所見にて来院時には見られなかった右膝の熱感と腫脹,発赤,疼痛,可動域制限を認めた.胆囊炎後に発症した右関節炎から偽通風を強く疑ったが,見落としてはいけない疾患である化膿性関節炎の除外のためにすぐに関節穿刺を施行した.関節液の白血球17,920個/μl,グラム染色では細菌を認めず,ピロリン酸の結晶を認めた.後の関節液の細菌培養検査でも陰性であった.
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