特集 知っておきたい関節痛のみかた・考えかた
疾患から関節痛を考える
痛風・偽痛風
岩澤 三康
1
1国立病院機構相模原病院整形外科・リウマチ科
キーワード:
痛風
,
偽痛風
,
関節炎
Keyword:
痛風
,
偽痛風
,
関節炎
pp.805-809
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000300
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1 痛風は壮年期以降の男性に多く,高尿酸血症,関節炎既往,1日以内の単関節の急性発症,関節の発赤,循環器疾患・メタボリックシンドロームの既往などが診断材料として有用である1).第1MTP関節(母趾の付け根の関節)が好発部位だが,アキレス腱付着部,足甲部,足関節,膝関節など下肢にも多く,慢性例ではまれに手関節や肘関節にも生じる.
2 偽痛風は60歳以上に多く,高齢者ほど増加する.性差はない.単関節の急性発症が多いが,慢性例や多関節罹患例もある.X線検査で関節軟骨や半月板の石灰化像を認めることが多い.膝関節が好発部位だが,足関節や,上肢大関節(肩・肘・手関節)にも多く,まれに手足の小関節(MCP,MTP関節など)や頸椎にも生じる.
3 両関節炎とも疼痛,発赤,熱感,腫脹を呈し,関節リウマチによる関節炎,感染性関節炎と鑑別は難しい.関節液は炎症による濁りがあり,やはり鑑別が難しい.液中に細菌や結晶を証明し確定診断できるが,みつからないことも多い.
4 痛風では,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),コルヒチン,経口ステロイドなどを患者背景にあわせて投薬し,関節炎の沈静化とともに,血清尿酸値を低下する内服薬を開始する.
5 偽痛風では結晶を溶解する薬物はない.急性期は患部の保冷,安静に加え,関節穿刺とステロイド関節内注射が有効である.また,NSAIDs,コルヒチンなどの内服も検討される.ステロイド関節内注射は感染性関節炎を否定して行うべきである.
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