特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
骨格系
結晶沈着疾患―痛風,偽痛風,石灰化腱板炎の診断と治療
西村 浩
1,2
,
濱田 哲矢
3
1福岡県済生会二日市病院放射線科
2久留米大学放射線科
3久留米大学整形外科
pp.340-345
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101224
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典型的な症例
図1 慢性の痛風性関節炎(a:40歳男性,b:43歳男性)
いずれの例においても右母趾中足趾節関節に偏在性の軟部組織腫脹がみられる(矢印).bでは一部石灰化を伴っている.関節裂隙はaでは若干狭小化がみられるが,bでは狭小化はほとんど認められない.中足骨にはいずれの例でも比較的境界明瞭なびらんを認め,ややわかりにくいがoverhanging edges(矢頭)が認められる.
結晶沈着誘発関節症(crystal induced arthritis)とは,生体または軟骨の代謝異常によって析出した無機塩の結晶が関節腔に遊離し白血球に貪食されて関節内の滑膜,軟骨などに沈着して起こる関節炎のことである.
原因となる結晶には,尿酸ナトリウム結晶(痛風),ピロリン酸カルシウム(偽痛風),リン酸カルシウムの一種であるハイドロオキシアパタイト(石灰化腱板炎など),シュウ酸カルシウムなどがある(表1).本稿では,代表的な痛風,偽痛風,石灰化腱板炎の3疾患に絞って解説する.なお,尿酸ナトリウム結晶以外は,関節軟骨に石灰化がみられるために画像所見や病理学的用語としての軟骨石灰化症(chondrocalcinosis)とも呼ばれるが,結晶沈着症以外にも軟骨に石灰化をきたすことがあるため鑑別診断上注意が必要である(表2).
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