今月の主題 リウマチとその周辺
周辺疾患
偽痛風
赤岡 家雄
1
1帝京大学医学部第2内科
pp.1028-1029
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221717
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①関節円板などを主座とする石灰化症と,その関節炎症を主徴とする疾患を,1958年にチェコスロバキアのZitnanらが,初めてchondrocalcinosis polyarticularis familiarisとして報告した.一方,1961年McCartyらは同様な症状の患者関節液を調べて,尿酸塩でない結晶を見出し,X線回折によりこの結晶がピロ燐酸カルシウム[calcium pyrophosphate dihydrate(Ca2P2O7・2H2O)(以下CPPDと略)]結晶であることを確認した1).このCPPD結晶による急性関節炎は痛風発作に類似していることから偽痛風pseudogoutと命名されたが,Zitnanらがすでに報告していたchondrocalcinosisも偽痛風と同一疾患と考えられた.②その後,いくつかの結晶による関節炎が見出された.③Hydroxyapatite結晶によるもの,つぎにoctacalcium phosphate結晶によるもの,第3にtricalcium phosphate結晶によるものがある.
しかし,偽痛風はCPPD結晶によるものに限られる.つまり,これらの結晶性関節炎は結晶の物理化学的性質の相違と同時に,わずかながら臨床的な違いも存在する.以下,頻度の高い偽痛風に限って記述する.
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