臨床医に役立つ実践病理診断 病理医から臨床医へのメッセージ・7
乳頭部癌
山野 三紀
1
,
和田 了
1
,
松本 道男
1
,
前川 博
2
,
佐藤 浩一
2
,
成田 諭隆
3
,
玄田 拓也
3
,
市田 隆文
3
,
趙 成済
4
,
小川 薫
5
Miki YAMANO
1
,
Ryo WADA
1
,
Michio MATSUMOTO
1
,
Hiroshi MAEKAWA
2
,
Koichi SATO
2
,
Yutaka NARITA
3
,
Takuya GENDA
3
,
Takafumi ICHIDA
3
,
Narisumi CHO
4
,
Kaoru OGAWA
5
1順天堂大学医学部附属静岡病院 病理診断科
2順天堂大学医学部附属静岡病院 外科
3順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科
4順天堂大学医学部附属静岡病院 放射線科
5順天堂大学 保健看護学部
1Department of Pathology,Juntendo University Shizuoka Hospital
2Department of Surgery,Juntendo University Shizuoka Hospital
3Department of Gastroenterology,Juntendo University Shizuoka Hospital
4Department of Radiology,Juntendo University Shizuoka Hospital
5Juntendo University School of Health Science and Nursing
キーワード:
乳頭部癌
,
肉眼型
Keyword:
乳頭部癌
,
肉眼型
pp.548-558
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100448
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要旨
乳頭部癌は,腫瘤型,混在型,潰瘍型の3型に大きく分類される.肉眼型で深達度や予後や予後因子を予想することは難しいとされる.しかし,潰瘍型や潰瘍を伴う混合型症例には,低分化型が多く,異型度も高い.深達度も深いことが多く,早期癌はみられない.正常の乳頭部の構造をよく理解したうえで,病変粘膜の注意深い観察により,浸潤癌(Oddi筋を越えた癌)を予測できる所見がある.すなわち縦ひだ内の不整陥凹やびらん,はちまきひだ,小帯などの既存構造の途絶・変形,粘膜(縮み所見)や不規則な粗い顆粒状粘膜表面様などの所見に着目すると良い.
また,乳頭部腫瘍では,一般に開口部に近いAd,Ac領域よりも深部のAp,Ab領域の方が異型度が高い傾向があるため,生検する際にはできるだけ鉗子を奥にまで挿入して組織を採取することが望ましい.Ad領域を含めて,Oddi筋と十二指腸粘膜筋板の間の粘膜下層には,脈管が豊富であり,粘膜下層へ浸潤した癌は予後因子が悪い傾向にある.
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