Japanese
English
症例報告
乳頭部膵管を主座とするIPMNが膵頭部主膵管へ進展し分枝膵管で浸潤癌となった多発IPMNの1例
A case of multiple intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN),which was mainly located in ampullary pancreatic duct,with extension to main pancreatic duct and invasion in branched pancreatic duct
柴原 弘明
1
,
吉田 克嗣
1,2
,
久世 真悟
1
,
京兼 隆典
1
,
高見澤 潤一
1
,
檜垣 栄治
1
,
馬場 聡
3
Hiroaki SHIBAHARA
1
,
Katsushi YOSHIDA
1,2
,
Shingo KUZE
1
,
Takanori KYOKANE
1
,
Jun-ichi TAKAMIZAWA
1
,
Eiji HIGAKI
1
,
Satoshi BABA
3
1袋井市立袋井市民病院 外科
2稲沢市民病院 外科
3浜松医科大学附属病院 病理部
1Department of Surgery,Fukuroi Municipal Hospital,Shizuoka
2Department of Surgery,Inazawa City Hospital,Aichi
3Department of Pathology,Hamamatsu University of Medicine,Shizuoka
キーワード:
IPMN
,
乳頭部癌
,
乳頭部膵管
Keyword:
IPMN
,
乳頭部癌
,
乳頭部膵管
pp.446-454
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100179
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要旨
患者は75歳,男性.胃癌手術(胃全摘)の既往歴がある.同手術時のCTで膵頭部から膵鉤部にかけて嚢胞性病変と軽度の主膵管拡張がみられ,経過観察していた.術後2年3か月のCTで嚢胞性病変の増大と主膵管の著明な拡張を認めた.分枝型IPMNで,腫瘍径が増大し主膵管の著明な拡張も伴っており,IPMNの悪性化を否定できないため,膵頭十二指腸切除を施行した.切除標本の病理組織学的検討では,乳頭部膵管を主座とするIPMNが膵頭部主膵管・分枝膵管へ進展し,分枝膵管において浸潤癌となっていた.また,膵鉤部では分枝膵管が嚢胞状に拡張し,種々の異型性を示す腺腫病変がみられた.両病変の関連については病理組織学的に膵鉤部の病変は腺腫が主体で,乳頭部膵管を主座とするIPMNは癌であること,臨床的にはCT上胃癌手術時は分枝型IPMNの所見であった.しかしのちに著明に主膵管が拡張し主膵管型IPMNの所見を呈していたことを考慮すると,もともと存在した膵鉤部の分枝型IPMNと,経過中に顕在化してきた乳頭部膵管を主座とする主膵管型IPMNが合併した多発IPMNと考えると,経過を自然に理解できると考えられた.また,自験例は腫瘍の主座である乳頭部膵管において浸潤癌となったのではなく,上皮内進展した分枝膵管レベルで浸潤癌となったという点で興味深い.乳頭部病変とIPMNを認める症例では病理組織学的な詳細な検討が必要である.
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