- 有料閲覧
- 文献概要
第38回日本胆道学会学術集会が,2002年9月27日・28日の両日,名古屋国際会議場で開催されました.会長を務められたのは藤田保健衛生大学・堀口祐爾教授で,DDWから離れて2回目の単独開催となり,今後の学会の方向性を窺う意味でも注目される中での開催となりました.今回,会長が掲げられたキャッチフレーズは“独自性と調和を求めて”であり,外科医,内科医,放射線科医,病理医が対話を重ね一定のコンセンサスを得ることであり,まさしく今後の学会のあり方を問うとともに,プログラム上もこのテーマに沿ったいくつかの新しい試みが組み入れられていました.以下,私が拝聴させていただいたセッションをオーバービューしながら本学会を振り返ってみます.
今回のプログラムの中で特に私が注目したのは2つのパネルディスカッションでした.まず「胆管癌の術前診断と外科治療一内科医と外科医の対話」では,川原田嘉文先生の司会のもと,二村雄次先生と真口宏介先生がパネリストとして討議されました.ここでは外科医から内科医に向けて,安易な内視鏡的ドレナージやmetallic stentによる内瘻化が行われている現状に対する警告がなされ,また,手術適応を検討する上での詳細な胆管造影像の必要性,これを含む高いレベルの術前診断の要求がなされました.しかし,一方では施設によって外科医の技量に差があることは紛れもない事実であり,特にこの領域における施設間格差は大きく,施設間で手術適応が大きく異なることが,ここでなされた数例の症例検討からも明らかとなりました.結局,根本的な解決策である人材の育成が一朝一夕にはいかないことを考慮すると,手術適応について全国レベルでのコンセンサスが得られるまでには,まだまだ時間を要するものと思われ,術前診断体系のスタンダード化についても,現状ではまだかなりの問題を残しているように感じられました.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.