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2001年9月4~5日の2日間,第33回膵臓学会大会(会長 東北大学大学院消化器外科,松野正紀教授)が仙台国際センターにて開催された.日本消化器病週間(DDW-JAPAN)から分離して2回目の大会となり,興味ある主題を設定し,それぞれ深い討論が行われた.膵癌・膵炎を21世紀における克服すべき膵臓病学の目標としてとらえ,「膵癌の集学的治療」をシンポジウムに,「膵炎とサイトカイン・ケモカイン」「自己免疫性膵炎」「膵機能温存からみた膵切除術の評価」「膵画像診断の進歩」がワークショップとして取り上げられた.またコンセンサスミーティングとして「MCTとIPMTをめぐって」が,また日本救急医学会の作成した「急性膵炎治療のガイドライン」に関して膵臓学会の意見を集約するためのサテライトシンポジウムも開催され,非常にバラエティに富んだ充実した2日間であった.また,会長講演の「膵hypoperfusionと膵壊死は同意語か?―急性膵炎早期の膵循環障害へのアプローチ―」や膵癌で雑誌PancreasのChief Editorでもある米国のGo教授の招待講演(Pancreatic cancer prevention:role of nutrition)を初め,国内外の研究者のすばらしい講演を聴く機会に恵まれたのは好運であった.さらにランチョンセミナーとして,慢性膵炎の専門家でIAP会長でもあるドイツLankisch教授,遺伝子治療の英国のLem―oine教授,台湾膵臓学会のChen教授や東北大学分子病理学の堀井明教授らの講演がなされた.
シンポジウム「膵癌の集学的治療」では主に進行膵癌を対象にGemcitabineなど新しい化学療法,重粒子線などの放射線療法,遺伝子療法,免疫療法,ミニ移植療法などの極めて興味ある発表がなされた.「炎症とサイトカイン・ケモカイン」では急性膵炎と慢性膵炎におけるサイトカインやケモカインの役割に関する発表がなされた.
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