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特集 門脈圧亢進症の病態と治療
シャント型脳症に対する短絡路温存門脈大循環分流術
Reversal of Portosystemic Encephalopathy by Shunt Preserving Disconnection of Portal and Systemic Circulation
樫田 博史
1
,
織野 彬雄
2
Hiroshi KASHIDA
1
,
Akio ORINO
2
1昭和大学横浜市北部病院消化器センター
2神戸市立中央市民病院消化器内科
1Digestive Disease Center, Showa University Northern Yokohama Hospital
2Division of Gastroenterology and Hepatology, Kobe City General Hospital
キーワード:
肝性脳症
,
門脈大循環短絡
,
シャント型脳症
,
門脈圧亢進症
,
interventional radiology
Keyword:
肝性脳症
,
門脈大循環短絡
,
シャント型脳症
,
門脈圧亢進症
,
interventional radiology
pp.771-777
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900353
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門脈大循環短絡による難治性の肝性脳症に対する治療としては,従来,短絡路塞栓術が行われてきた.確かに脳症は術後急速に軽快するものの,腹水貯留や静脈瘤の増悪を来たした例もあり,治療成績は必ずしも満足なものではなかった.問題は,短絡路を閉鎖するという根本的な点にあると考える.すなわち,術前は腸管静脈血と脾静脈血のかなりの部分が短絡路へ流出し門脈血流はわずかであったのが,短絡路閉鎖によりすべての血流が一気に門脈へ流れようとすることとなるため,門脈圧は急激に上昇すると思われる.その結果,腹水を来たしたり,食道静脈瘤など新たな短絡路を形成しやすい.新たな短絡路を形成すれば,脳症も再発することが予想される.筆者らの考案した分流術は,短絡路を温存したまま,短絡路と腸間膜静脈の間で脾静脈を塞栓する方法である.この方法であれば腸管静脈血が求肝性に流れるため脳症が軽快する一方,脾静脈血流は元通り短絡路を通じて大循環へ流出するため,門脈圧の過大な上昇を回避できるようになった.
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