トピックス
門脈短絡手術の運命
堀 原一
1
1東京大学医学部第2外科教室
pp.1592-1593
発行日 1965年11月20日
Published Date 1965/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203822
- 有料閲覧
- 文献概要
門脈下大静脈吻合が1877年Eckによつてはじめて行なわれたといつても,近代外科の立場からそれが臨床的に門脈圧亢進による食道静脈瘤の治療手段として,最初米国においてとり上げられてからまだ25年を出ず,日本においてはさらに数年短い歴史を有する.これは本手術がなお実験的,臨床的論議の対象となるにふさわしい若さであるということと同時に,20年を経て来た本手術が過去にもたらした結果によつて批判されるに足る古さももつていることを意味する,
主に肝循環の研究から門脈短絡手術は,門脈減圧や腹水軽減の適応に応じて門脈下大静脈端側,側々,double portacaval,上腸間膜静脈下大静脈側端,脾腎静脈吻合,最近本邦で創案された門脈血分離灌流法など,門脈減圧をはかりつつ術後いわゆるEck瘻症状群の発生をできる限りくい止めるよう,いろいろに考案されて今やテクニックの上では問題がないところに来たといつてよいであろう6).
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.