Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
目的 乳頭部腫瘍の各肉眼型にどのような組織学的特徴があるのか,乳頭部腫瘍の生検診断ではどのような点に注意すべきか,を明らかにする.材料・方法 当科で病理学的検査が行われた外科切除の乳頭部腫瘍76例(腺腫7例,腺癌69例)が対象.すべて全割.このうち48例(腺腫6例,腺癌42例)で,外科切除組織診断と生検診断との対比を行った.結果 非露出腫瘤型癌と露出腫瘤型癌では,低異型度癌が,それぞれ,20%(1/5)と38%(17/45),深達度m癌~Oddi筋内癌が60%(3/5)と33%(15/45)と早期癌が多かったのに対し,潰瘍型はすべて高異型度癌で,du1以上の進行癌であった.下部総胆管や主膵管への粘膜内進展は,非露出腫瘤型癌で,それぞれ,20%(1/5)と20%(1/5),露出腫瘤型癌で,31%(14/45)と13%(6/45)であった.潰瘍型癌でも下部総胆管への粘膜内進展が16%(3/19)に見られたが,主膵管への進展はなかった.同一例での細胞異型度は大十二指腸乳頭(Ad)よりも共通管(Ac)で強く,AcよりもAd/乳頭部膵管(Ap)で強かった.初回生検診断と見直し生検診断(ないし切除後診断)との比較では,合致率が81%(39/48),不一致率は19%(9/48)であった.不一致の原因として腺腫の増殖帯が癌と誤診され,低異型度癌が腺腫と誤診されていた.また,生検で低異型度癌とされた15例中9例(60%)はその深層に高異型度癌を有していた.結論:乳頭部癌では非露出腫瘤型や露出腫瘤型には早期癌や低異型度癌が多いこと,早期癌でも下部総胆管や主膵管に粘膜内側方進展するものがあること,および生検診断で腺腫や低異型度癌(悪性度の低い癌)と診断されても,その深部に高異型度癌が存在することから,乳頭部癌の縮小手術を含む治療法の決定には,乳頭部癌の病理的組織的特性をよく捉えたうえで,さらに画像による慎重な術前診断が必要である.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.