技術講座 胆道造影―私はこうする
選択的胆管造影 ①肝内結石症
神谷 順一
1
,
二村 雄次
1
1名古屋大学第一外科
キーワード:
選択的胆管造影
,
肝内結石症
,
経皮経肝胆道ドレナージ
,
PTBD
,
経皮経肝胆道鏡
,
PTCS
Keyword:
選択的胆管造影
,
肝内結石症
,
経皮経肝胆道ドレナージ
,
PTBD
,
経皮経肝胆道鏡
,
PTCS
pp.281-285
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900041
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基本的な考え方
肝内結石症は肝病変でなく肝内胆管病変であるので,病態を確実に把握し最適の治療法を選択するためには,肝内区域胆管枝を中心とした精密診断を行う必要がある1)(図1),結石存在部位や胆管病変を把握するためには,上流側からの胆管造影,すなわち経皮経肝胆管造影(PTC)あるいは経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)カテーテルからの選択的造影法が有用である.下流側からの造影である内視鏡的逆行性胆管造影では十分な情報が得られないことが多い.
肝内結石症の場合,ビリルビンカルシウム結石とコレステロール結石では治療方針が異なるため,治療を始める前に結石の種類を鑑別する必要がある.最近の画像診断法の進歩により,超音波検査(US)やCTなどの所見から,肝内結石の種類の推測が可能となっているが,胆管造影所見でもコレステロール結石の推測はできる.すなわち,亜区域枝または末梢分子の限局性拡張部に多数の小透亮像が充満し,その下流側胆管に狭窄様所見はなく,上流側胆管の拡張はないかあっても軽度であるというのが特徴である2).この病変が肝内に単独かまたは孤立散在し,その他の肝内胆管枝は胆管炎所見もなくほぼ正常であることも肝内コレステロール結石症の大きな特徴である.
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