講座 MRIの基礎から臨床応用・2
MRIの原理(2)
樋口 順也
1
1けいゆう病院放射線科
pp.277-280
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900040
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はじめに
前号のMRIの原理(1)でMR信号が水素の原子核(プロトン)から来る電波であることが理解できたが,これは撮像対象のすべての原子核から出た電波がすべて一緒になったものである.実際には空間情報,つまりどのくらいの強さの電波がどの場所から発信されているかを知り得てはじめて画像として再構成できる.
MR信号の電波は1テスラの装置で42.58MHz程度の周波数なのでその波長は数メートルに達し,X線CTなどのように検出器(MRでは受信コイル)の物理的な位置や向きなどでは到底数ミリ以下の精度で個々の発信源を分解することはできない.そこでMRではMR信号自体に位置情報を織り込む(spatialencoding)という工夫をしているが,残念ながらこのプロセスがMRIの理解を困難にしている大きな要因となっている.今回はこのspatial encoding,つまりMRの画像としての成り立ちについて概説する.
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