Letter to the Editor海外文献より
肝細胞癌に対するTAEはsurvival benefitはない?
工藤 正俊
1
1近畿大学第二内科
pp.286-288
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900042
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最近続々とTAEは切除不能肝癌の予後改善につながらない(survival benefitはない)というrandomisedcontroled trialの結果がpublishされている.その骨子は“TAEは抗腫瘍効果は明らかに有するがsurvivalbcbefitはこれまでのrandomized trialの4つの結果すべてで否定され,なおかつTAE後の早期死亡,感染などのリスクがあるため,ヨーロッパではもうすでにTAEは肝細胞癌に対する姑息的治療としては行われず,あるいは行われるべきでない”とされている.現時点におけるヨーロッパでのTAEの適応は肝癌に対.し移植適応のある患者に対して待機期間中の腫瘍進展を抑制する目的にのみ行われているというのが現状である.すなわちヨーロッパにおいては切除適応の患者がいても移植適応(3cm以下,単発)があればそちらを優先するという体制ができあがっており,TAEについては進行肝癌の治療としては全く否定されてしまっている.さらには最近そのような移植待機患者においても移植術前のTACEはsurvival benefitがないという論文も出されている(消化器画像第1巻2号291頁参照).ますますTAEにとっては形勢不利な状況が続いている.
「Hepatology」1998年11月号に最近話題を呼んだBruixらのTAEのrandomized trialの結果(消化器画像1:139-141,1999参照)についての反論がLetters to theEditorとして掲載され,それに対するReplyも早期掲載されている.
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