現代神経科学の源流・13
ノーム・チョムスキー【Ⅰ】
福井 直樹
1,2
,
酒井 邦嘉
3
1上智大学大学院言語科学研究科
2上智大学国際言語情報研究所
3東京大学大学院総合文化研究科相関基礎科学系
pp.941-945
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201865
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神経科学と言語学の接点
酒井 今回は,チョムスキーの代表的な著作である『統辞構造論』の日本語訳(岩波文庫,2014年)をされた言語学者の福井直樹先生をお迎えして,現代言語学の源流から最新の動向まで,チョムスキーの人となりを含めてお話をうかがいたいと思います。
まず,神経科学でなぜ言語学を取り上げるのか,というところを説明しておきましょう。言語学はいわゆる「文系」の学問であるというイメージが根強いわけですが,言語や心は脳の高次機能ですので,最終的には脳科学で説明できる現象であると私は考えています。その意味で,言語学を自然科学の一分野として捉える必要がありますし,例えば失語症の理解にも言語学の知識と分析が必須です。
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