現代神経科学の源流・17
ノーム・チョムスキー【Ⅴ】
福井 直樹
1,2
,
酒井 邦嘉
3
1上智大学大学院言語科学研究科
2上智大学国際言語情報研究所
3東京大学大学院総合文化研究科相関基礎科学系
pp.1381-1385
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201951
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「規則系としての文法」から原理とパラメータのアプローチへ
福井 いろいろな議論が出てきたけれども,これだけ生成文法のアプローチが広がったのは,やはり現場の言語学者が「なるほど」と思う理論があって,言語の記述にも大きな貢献をもたらしたからです。構造主義の言語学ではお手上げだったようなことが次から次に説明されていく。それがずっと続いたからこそ,生成文法理論はさらに発展していきました。
生成文法理論の深化によって,「言語学における説明とは何か」という意味そのものが変わってきたと見ることもできます。前(第14回73巻9号,pp1043-1044)にも言いましたが,アメリカ構造主義の時代には,明確に定義された形式的手続きに従ってきちんと整理されたリストをつくれば「一丁あがり」だった。その記述が「説明」だと思われていたのです。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.