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この度,台北市で行われた第7回のPACTRIMSに参加してきました。会場は,台北市のランドマークタワーであり地上500m超の超高層ビル台北101のすぐそばにあるGrand Hyatt Taipeiで,盛会のうちに終了しました。この学会は,アジアや中東地域の多発性硬化症(MS)研究者が一堂に会し,特にアジア地域においてMSや視神経脊髄炎(NMO)の病態研究や治療法について情報を共有し,理解を深めることを目的として開催されています。今回は,大会長にChing-Piao Tsai教授が就任され,日本,韓国,オーストラリア,中国,タイ,インド,マレーシア,シンガポール,イラン,トルコなどの中東アジア地域から約400名の研究者が集い,また欧米からも多数の演者が招かれて,最新のMSやNMOの治療や病態研究についての発表が行われました。
そもそもアジアや中東地域においては,欧米のヨーロッパMS学会(ECTRIMS)や米国MS学会(ACTRIMS)のような,MSに特化した学会はありませんでした。アジア地域においては2003年10月にタイのバンコクで開催されたPACTRIMSの前身MS Forumが発端となり,この地域におけるMSやNMOの研究と情報共有が急速に進み,さらに2008年からは現在のPACTRIMSが発展的に学会として立ち上がり,以来10年以上にわたってこの地域のMSの理解に貢献してきました。アジアは,従来からMSよりも視神経脊髄型MS(OSMS)やドゥヴィック病(NMO)が多いことが知られ,疫学研究においてもその点についての発表が多かったと思います。折しも,この学会が興った時期は,NMOの病態が急速に解明された時期とちょうど重なり,NMO-IgG(抗アクアポリン4抗体)が発見された2004年を境に一気にその病態に関する議論が沸き起こった時期でした。
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