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あとがき
神田 隆
pp.104
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101113
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地域医療の崩壊が叫ばれてずいぶんになります。この現象の引き金を引いたのが2004年に導入された新臨床研修制度であることは明らかですが,その功罪はともかくとして,医師の不足に危機感を持ったいくつかの県が寄附講座の形で当該県に地域医療学の拠点を設けています。私が奉職しております山口大学にも地域医療学の教室ができ,先日,この教室から“不足している診療科”についての県内病院長を対象とした調査が論文として発表されました。神経内科は“不足している診療科”の最上位にランクしていただきましたが,県内のどの地域の院長先生が“神経内科が足らない”とおっしゃっているのか詳細にみてみますと,私の教室から常勤・非常勤の形で人が出せていない地域では不足度が低く,常勤医を複数置いている地域での不足感が強いことがわかりました。私自身は神経内科そのものの認知度をさらに高めること,扱う疾患の広汎性をアピールしていくことで,今後神経内科医の活躍する場は大きく拡がるであろうと確信を持った次第ですが,そのためにはこの科を志望する人材を1人でも多く獲得することが必要となります。私は2011年春から山口大学の臨床研修センター長(今はもう少しややこしい名称に変わっています)を拝命しており,神経内科のみならず全学の人材確保に責任のある立場です。一般技能の習得に大きな比重の置かれる研修制度の中でアカデミアにどのように人を集めるか,頭の痛い毎日です。
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