Japanese
English
連載 神経学を作った100冊(42)
クウェイン『解剖学原理』(1828)
One Hundred Books which Built up Neurology (42)-Jones Quain "The Elements of Amatomy" (1828)
作田 学
1
Manabu Sakuta
1
1日本赤十字社医療センター神経内科
1Department of Neurology,Japanese Red Cross Medical Center
pp.648-649
発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100708
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クウェイン(Jones Quain;1796~1865)は,19世紀中葉を代表する解剖学者である。ロンドン大学の解剖学と生理学の教授を長く務め,代表作に,『解剖学原理』がある(Fig.1)1)。本書は初版が1828年に出たあと,第2版(1832),第3版(1834),第4版(1837)と続き,第11版(1908~1929)まで改版を続けた。つまり,100年以上も読み継がれた解剖学書ということになるが,これに匹敵するのは1858年にHenry GrayとHenry Vandyke Carterが出版した『Gray's anatomy』であろう。この書も恐ろしく息が長く,40版150年を数えている。
クウェインは,それまでの解剖学を集大成したという意味で,大変意義深い仕事を成し遂げた。第3版(1834)を読んだが,今日使われている解剖学用語はその大部分をこの書物にみることができる。ということは,今日の臨床神経学の解剖学的基礎はこの頃にほぼ完成されていたと考えてもよいのではないだろうか。
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