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フォア(Charles H. Foix;1882-1927)は,バイヨンヌ近郊で出生し,パリ大学卒業後サルペトリエール病院で,1917年まではデジュリーヌ(Joseph Jules Dejerine;1849-1917),次いでマリー(Pierre Marie;1853-1940),ギラン(Georges Guillain;1876-1961)に師事した。口蓋ミオクローヌスにおける中心被蓋路病変とオリーブ核の仮性肥大(1924),フォア症候群(赤核の前半部の障害により,動眼神経は障害されずに,赤核性振戦などを生じるもの=赤核症候群)(1925),フォア・アラジュアニーヌ症候群(脊髄の血栓性静脈炎で,亜急性壊死性ミエロパチーを生じるもの)(1926),フォア・シャヴァニ・マリー症候群(顔面・咽頭・舌・咬筋の両側性麻痺。随意運動と自動運動の乖離を伴う),フォア・ジェファーソン症候群などで知られる。
さて,パーキンソン病の主病変が黒質に存在することが明らかになったのは,それほど古い話ではない。これが中脳に存在するかもしれないということは,1894年にブロック(Paul Oscar Blocq;1860-1896)とマリネスコ[Georges Marinesco;Gheorghe Marinescu(ルーマニア語表記);1863-1938]によって初めて明らかにされた。それは中脳の結核腫によって一側のパーキンソン症候群が出現したという『Revue Neurologique』誌での報告であった。これは1895年にブリッソー(Édouard P Brissaud;1852-1909)の著書によって取り上げられた。「パーキンソン病の性質と病変」と題する章で黒質の一側性病変と反対側に生じたパーキンソン症状との関連を指摘し,そのような病変は不明瞭ではあるが,1つの仮説であるといって,ハッパをかけたのである(Fig.1)1)(501頁)。
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