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本号の特集は,獨協医科大学神経内科の平田幸一教授にゲストエディターをお願いしたrestless legs syndrome(RLS)である。RLSでは,夕方から夜に静かにしているときに,下肢の不快感とともに下肢を動かしたいという衝動に駆られ,下肢の運動でこの不快感や欲求は減少し,消失する。既に1960年にEkbomにより詳細な記載がありよく知られた症候群ではあるが,日常診療でよく知られているとは言い難い。今回の特集では,この有名ではあるがちょっと縁遠いRLSについて疫学,病態生理,症候と診断,二次性RLS,そして治療とその詳細を網羅していただいた。筆者自身の驚いたことの1つは,その有病率の高さであり,欧米では5~12%,わが国では1.1~1.8%とされており,一般にも知られるようになっていることから受診する患者も増えているとのことである。今回の特集が,本邦におけるRLS診療と患者さんのADL/QOLの向上に大きく貢献するものと期待される。特集に引き続き,ドパミン仮説などRLSとも関係があると思われるレム睡眠行動異常症(RBD)の歴史的展開とその病態生理について総説を掲載していただいたのもタイムリーである。
特集以外では,まず厚生労働省の運動失調班を中心に行われた,新しい小脳性運動失調症の重症度評価スケールSARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)の信頼性に関する検討を紹介したい。従来のICARS(International Cooperative Ataxia Rating Scale)に比べてはるかに簡便なSARAの信頼性が十分に高いことが証明され,今後,広く普及していくものと思われる。そのほか,多発性硬化症のミトキサントロン治療や内頸動脈ステント留置術(CAS)に関する総説,急性期脳梗塞診断標準化の原著など時宜に適った重要な論文を多くご投稿いただいた。ここにご執筆の先生方に感謝申し上げるとともに,読者の皆さまに十分ご活用いただくことを祈念する次第である。
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