Japanese
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Case Record◆症例報告
有痛性糖尿病性神経障害を有した1型糖尿病の1例
A case of type 1 diabetes with painful diabetic neuropathy
萩原 愛子
1
,
滝澤 美保
1
,
田中 伸枝
1
,
内潟 安子
1
1東京女子医科大学糖尿病センター内科
キーワード:
①糖尿病性神経障害
,
②有痛性神経障害
,
③1型糖尿病
Keyword:
①糖尿病性神経障害
,
②有痛性神経障害
,
③1型糖尿病
pp.625-629
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101592
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糖尿病性神経障害に対する治療薬は近年変わりつつあるが,治療効果には個人差があり,治療困難な痛みやしびれなどの症状は患者のQOLを著しく低下させる.今回,入院加療により症状が改善した,有痛性神経障害を有した1型糖尿病症例を経験したので報告する.
症例は,37歳女性.29歳時に糖尿病を発症し,その翌年になって1型糖尿病と診断され,インスリン療法が開始された.その後,うつ病の発症に伴い血糖コントロールは悪化し,35歳時に当センターを受診した.インスリン強化療法を施行するも,HbA1c(以下NGSP)8~10%で経過し,37歳時にはHbA1c 12%台とさらに血糖が悪化した.血糖コントロール目的のため入院加療を行ったが,血糖改善が不十分であり,同時期より両下肢の疼痛およびしびれ感を自覚するようになり,同年再度入院した.入院後に安静およびインスリン調整による血糖の是正を行い,また,神経障害に対してプレガバリン75mgおよびメコバラミン1,500μgを開始したところ,疼痛は著明に軽快した.合併症の理解に対する指導,血糖管理,および薬物療法により症状が改善したと考えられた.
Caseの教訓:有痛性神経障害の治療には,生活習慣の改善に加え,患者のQOLの改善を考慮し,個々の症例に合わせた薬物療法を行うことが重要である.
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