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【疾患編3】周産期
《妊婦・褥婦の合併疾患とその増悪》
糖尿病性ケトアシドーシス/劇症1型糖尿病
杉山 隆
1
1愛媛大学医学部産科婦人科学
pp.288-295
発行日 2018年4月20日
Published Date 2018/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209354
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外来管理のポイント
❖糖尿病女性(特に1型糖尿病)が糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis : DKA)を合併した場合,強い全身倦怠感と意識障害が特徴である.
❖DKAでは昏睡の可能性も高く,そのほとんどは救急車で搬送される.意識がないとの情報が入れば,妊婦であっても産科病棟に搬入せず,ICUへ収容すべきである.多くは1型糖尿病であるが,耐糖能異常の既往がない場合,劇症1型糖尿病の可能性を留意する.患者の呼吸状態(大呼吸,ケトン臭),尿定性検査での尿糖強陽性,尿ケトン強陽性が特徴である.もちろん高血糖(>300mg/dL)の情報も重要である.
❖治療の要は,脱水に対する急速補液および高血糖に対する血糖コントロールであるが,急激な低下は脳浮腫のリスクを伴うので注意を要する.
❖劇症1型糖尿病の場合,耐糖能異常の既往がない女性がDKAを発症して診断される(表1参照 : ①すでにケトーシスやケトアシドーシスを生じている.②初診時の随時血糖値は≧288mg/dL,かつHbA1c値<8.7%,③発症時の尿中Cペプチド<10μg/日または血清Cペプチド<0.5ng/mL)1).妊娠と関連することが知られており,特に妊娠後半期から産褥期に発症し,発症1週間ほど前に感冒様症状を伴うことが多い.また,子宮内胎児死亡の頻度が高い(約60%)2).
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