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特集 患者さんに上手に説明するための17の秘訣
糖尿病性神経障害とはこんな病気です
Characteristic features of diabetic neuropathy
中村 二郎
1
1名古屋大学糖尿病・内分泌内科学
キーワード:
①糖尿病性神経障害
,
②血糖コントロール
,
③アルドース還元酵素阻害薬
,
④糖尿病性壊疽
Keyword:
①糖尿病性神経障害
,
②血糖コントロール
,
③アルドース還元酵素阻害薬
,
④糖尿病性壊疽
pp.607-610
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100261
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神経障害とはどんな病気ですか
網膜症あるいは腎症に比して,神経障害が生命予後およびQOLに及ぼす影響は少ないと考えられる傾向にあるが,実際にはこれらへの影響は非常に大きいことが明らかとなっている.また,糖尿病患者が神経障害の合併を指摘された場合に最も不安に感じるのが,糖尿病性壊疽により足切断に至ることであろう.しかし,神経障害が糖尿病性壊疽に直結するわけではなく,外傷を受けたときに,神経障害による知覚鈍麻のため痛みを感じず,適切な処置を行わずに放置し,そこに感染が加わることによって初めて糖尿病性壊疽に進展する.患者に対しては,神経障害に対する恐怖感を煽ることなく細心の注意を払う必要のあることを指導すべきであろう.
神経障害の症状にはどんなものがありますか
神経障害の代表的症状は前述のとおりであるが,糖尿病性神経障害以外にも様々な疾患によって類似の末梢神経障害が引き起こされる.その代表的なものがBox 1に示されている.これらの疾患をすべて除外して初めて糖尿病性神経障害の診断を下すことが可能となるが,糖尿病患者に高頻度に認められるものとして,下肢の閉塞性動脈硬化症,手根管症候群および変形性脊椎症があげられる.神経障害の自覚症状の分布について,教科書的には“手袋靴下型”と記載されているが,基本的には左右対称性に足の爪先または足底部から生じ,手から症状が出現することはない.自律神経障害による症状に関しては,患者が糖尿病に起因するものと思わず,見過ごされることが多いことから,詳細な問診を行う必要がある.自覚症状および理学所見をもとにした神経障害の診断基準(Box 2)が提唱されている.
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