Japanese
English
Case Record
糖尿病性ケトアシドーシス発症後に消化管出血を併発した劇症1型糖尿病の1例
A case of fulminant type 1 diabetes with gastro-intestinal bleeding during the treatment of diabetic ketoacidosis
高池 浩子
1
,
内潟 安子
1
,
日下 貴子
1
,
石井 晶子
1
,
尾形 真規子
1
,
岩本 安彦
1
1東京女子医科大学 糖尿病センター
キーワード:
劇症1型糖尿病
,
ケトアシドーシス
,
消化性潰瘍
Keyword:
劇症1型糖尿病
,
ケトアシドーシス
,
消化性潰瘍
pp.733-736
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100238
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Case 消化管出血を併発した劇症1型糖尿病初発症例
劇症1型糖尿病は,その劇的な代謝の変化に伴い他疾患を併発することもあり,病状初期に専門科以外を初診することが多いと予測される.本症例は49歳男性で2001年2月27日より口渇,全身倦怠感,3月2日より下痢,嘔吐が出現したため,消化器専門病院へ受診した.初診時高血糖1,723 mg/dL,pH 7.09,HCO3 3.5 mmol/Lであり糖尿病性ケトアシドーシスと診断された.HbA1Cは6.6%であった.3月15日にタール便が出現し,また初診時血清アミラーゼが1,032 U/Lと高く,当院消化器外科に転院となった.出血性胃潰瘍への治療が行われ,膵臓には器質的病変は認めなかった.血糖値は40~600 mg/dLと不安定であった.糖尿病センタ-には第35病日に転科となった.内因性インスリン分泌は枯渇し,その経過から劇症1型糖尿病と診断した.患者が糖尿病をスムーズに受容するためにも早めの専門科への受診が好ましいと思われた.
Caseの教訓:①DKAなどストレス下においては消化管出血を併発することがあり,予防的対処が必要と考えられた.②糖尿病専門以外の医師,患者に対する劇症1型糖尿病の概念の普及が望まれた.
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