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特集 2型糖尿病診療における15のコントロバシー
Ⅳ糖尿病の代謝管理
糖尿病患者における脂質管理はどこまで厳格であるべきか―異論/争論,私の意見
Target of lipid-lowering therapy in patients with diabetes
羽入 修
1
,
曽根 博仁
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科学分野
キーワード:
①トリグリセリド(TG)
,
②non-HDLコレステロール(non-HDLC)
,
③LDLコレステロール(LDLC)
,
④動脈硬化疾患
Keyword:
①トリグリセリド(TG)
,
②non-HDLコレステロール(non-HDLC)
,
③LDLコレステロール(LDLC)
,
④動脈硬化疾患
pp.391-396
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101523
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はじめに
糖尿病の治療目標は,合併症を予防することにより,患者の健康寿命や生活の質をできるだけ健常者に近づけることにある.合併症のうち脳梗塞,冠動脈疾患,末梢動脈疾患等の動脈硬化疾患は,糖尿病に特異的な合併症ではないが,糖尿病患者では非糖尿病者と比較して2~4倍頻度が高く,重症例や再発が多いことから,糖尿病患者の生命予後や生活の質に重大な影響を及ぼす.特に2型糖尿病では,インスリン抵抗性や高血糖を基盤に,酸化ストレス,ポリオール経路の活性亢進,終末糖化産物(advanced glycation endproducts : AGEs)産生増加,血管内皮障害,炎症など,多くの動脈硬化を促進する機序が重複し,またリポ蛋白異常を伴った脂質異常症も重大な危険因子として合併しやすい.
近年,日本人2型糖尿病患者を対象としたJapan Diabetes Complications Study(JDCS)等の大規模臨床研究12)により,日本人2型糖尿病患者の動脈硬化疾患の発症率や危険因子の特徴が欧米人とは異なる部分が多いことが明らかにされ,注目されている.
本稿では,日本人の2型糖尿病における脂質代謝異常および管理目標について考察を加えたい.
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