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特集 2型糖尿病診療における15のコントロバシー
Ⅱ日本人2型糖尿病の治療
注射製剤のポジショニング
インスリン製剤のポジショニングと使い分け―異論/争論,私の意見
The pros and cons of therapeutic positioning and selection of insulin regimen
長澤 薫
1
,
森 保道
1
1虎の門病院 内分泌代謝科
キーワード:
①インスリン治療
,
②経口血糖降下薬(OHA)
,
③低血糖
,
④体重増加
,
⑤BOT
Keyword:
①インスリン治療
,
②経口血糖降下薬(OHA)
,
③低血糖
,
④体重増加
,
⑤BOT
pp.355-359
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101516
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2型糖尿病患者の薬物療法は,食事療法,運動療法など生活習慣の是正を十分に行っても耐糖能が改善しない患者への次の手段であることは言うまでもない.
しかし近年,UKPDS80などの大規模臨床試験で,スルホニル尿素(sulfonyl urea : SU)薬やインスリンの投与により早期から血糖コントロールを良好に保った群のほうが,後に血糖コントロールの差は消失したとしても,細小血管リスクの低下は長期間持続し,心筋梗塞や全死因死亡のリスクまでも低下するという,いわゆるlegacy effectを有することが明らかとなった.糖尿病発症早期からの,より厳格な血糖コントロールの重要性が示されたことにより,各国の糖尿病診療ガイドラインでは,インスリン治療も必要であれば,早期から用いるべき重要な治療として位置付けられるようになった.インスリン製剤の「糖尿病治療の最終手段」というポジショニングはすでに過去のものとなっているのである.
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