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特集 2型糖尿病診療における15のコントロバシー
Ⅱ日本人2型糖尿病の治療
糖質制限食の有用性は―異論/争論,私の意見
The debate over a low carbohydrate diet
徳丸 季聡
1
,
篁 俊成
2
1金沢大学附属病院栄養管理部栄養管理室
2金沢大学医薬保健研究領域医学系恒常性制御学
キーワード:
①食事療法
,
②糖質制限
,
③糖質130g/day
,
④エネルギー比率
Keyword:
①食事療法
,
②糖質制限
,
③糖質130g/day
,
④エネルギー比率
pp.334-338
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101512
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はじめに
糖尿病治療の柱は食事療法・運動療法・薬物療法の3つである.なかでも食事療法は糖尿病治療の基本に位置づけられている.
糖尿病食事療法の基本は適正なエネルギー摂取であり,炭水化物由来のエネルギー比率は55~60%とされている1).しかし,従来のエネルギー制限・炭水化物55~60%食(以下,エネルギー制限食)は,「長続きしない」「食の楽しみを損ねる」などのコンプライアンス上の問題がある.また,体内の血糖制御機能に異常をきたしている患者への適当な炭水化物エネルギー比は,検討の余地があると考えられる.
われわれは,米国で1型糖尿病の診断と食事指導を受けた症例が当院に入院した際,患者が強く糖質制限食を希望したため,持続血糖モニター装着のうえ糖質制限食を提供した.結果,bolus insulinを使用せずとも血糖値の安定を図ることができた(図1).これを契機に,当院の糖尿病医療チーム,Team DiETにて糖質制限食の有用性や安全性について議論を始め,糖質制限食の可能性を模索している.本稿では糖質制限食の争点と私見について述べる.
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