Japanese
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Perspective◆展望
40年生存率73%……
The survival rate of 40 years is 73% ……
𠮷岡 成人
1
1NTT東日本札幌病院 糖尿病内分泌内科
pp.306-307
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101524
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医学書院が出版している雑誌,『JIM』の17巻8号に「医学知識の“生存期間”」というタイトルのエディトリアルが掲載されている(JIM 17:629,2007).聖路加国際病院院長である福井次矢先生がお書きになったもので,福井先生が読まれたエッセイのなかの「医師は大学卒業時の知識の75%を臨床医として働く40年間の間に更新しなくてはならない」という記述に根拠があるのか否かについて,Truth survival in clinical researchというタイトルの論文1)を引用して考察なさっていた.
この論文は1945~1999年の55年間に出版された成人の肝硬変と肝炎に関する論文をレビューし,医学雑誌における臨床的な結論が正しいものとして「生存」するためには研究デザインが重要なのではないかという仮説を証明しようとしたものである.474の論文のうちの285(60%)は2000年の時点でも正しく,91(19%)の論文は時代遅れ,98(21%)の論文は誤りとされていた.論文の内容が「正しく」あり続ける半減期は45年,メタアナリシスによって得られた結論の20年「生存率」は57±10%,非ランダム化比較試験(87±2%)やランダム化試験(85±3%)のほうがより正しい結論を導き出している.しかも,ランダム化試験の場合は,陰性結果(negative conclusion)を示した論文の50年生存率が陽性結果(positive conclusion)を示した論文よりも長いというのである.
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