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特集 ライフステージに対応した糖尿病診療のコツ
Ⅳ老年期の患者への対応
高齢になって発症した糖尿病患者への対応―診察,検査,治療のコツ
How we should manage aged diabetic patients?:tips of diagnosis and treatment
税所 芳史
1
,
島田 朗
2
1慶應義塾大学 医学部腎臓内分泌代謝内科
2東京都済生会中央病院 内科
キーワード:
①高齢者
,
②低血糖
,
③HbA1c
,
④個別化治療
Keyword:
①高齢者
,
②低血糖
,
③HbA1c
,
④個別化治療
pp.423-429
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101378
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はじめに
平成19年国民健康・栄養調査によるとわが国の糖尿病患者数は約890万人と推定されているが,その2/3は60歳以上,1/4は75歳以上の高齢者である.高齢者では,加齢に伴うインスリン分泌低下と,身体活動量や筋肉量の低下,体脂肪増加などによるインスリン抵抗性の増大を認め,耐糖能は悪化する.高齢者糖尿病の特徴として,①口渇,多飲,多尿などの高血糖症状が出にくい,②低血糖症状を自覚しにくく,また症状も非典型的であることがある,③動脈硬化性疾患の合併が多く,無症候性の脳梗塞や虚血性心疾患が多い,④糖尿病と関連ない合併症を有する場合が多い,⑤肝臓,腎臓の予備能が低下しており,薬剤の副作用が出やすい,⑥認知機能や日常生活動作(ADL),また,経済的・社会的背景が人によって大きく異なる,⑦家族や介護のサポートを要する場合が多い,などの特徴がある.すなわち,高齢者と一言で言っても,比較的健康な高齢者から,寝たきりに近い虚弱な高齢者まで様々であり,糖尿病治療の目標はそれらの因子を考慮したうえで,一人一人に最適な治療目標を設定する必要がある.以下,高齢発症の糖尿病患者の診察・検査・治療のコツについて述べる.
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