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特集 糖尿病治療の至適HbA1cを再考する
2型糖尿病治療の至適HbA1c―私の考え―細小血管障害を主なエンドポイントにしてみたとき
Suitable HbA1c for preventing microvasucular complications of type 2 diabetes
岡田 洋右
1
1産業医科大学医学部 第一内科学講座
キーワード:
①細小血管症
,
②2型糖尿病
,
③HbA1c
Keyword:
①細小血管症
,
②2型糖尿病
,
③HbA1c
pp.497-500
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101093
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本邦における糖尿病合併症の実態は?
糖尿病は,インスリンの作用不足によって生じる慢性的な高血糖状態と,それに伴う種々の代謝異常と定義される.したがって,糖尿病の治療の目的は単なる血糖値の低下のみならず,代謝異常によってもたらされる慢性合併症,ことに血管合併症の予防にある.糖尿病の血管合併症には,神経障害・網膜症・腎症などの糖尿病に固有の細小血管症と,虚血性心疾患や脳卒中・閉塞性動脈硬化症など動脈硬化を基盤とする大血管症が存在する.
糖尿病の三大合併症である神経障害・網膜症・腎症の発症する時期は,一般的に血糖コントロール不良な期間の長さに関係し,神経障害・網膜症・腎症の順に出やすい.神経障害が進行すると足の壊死を起こし,年間に3,000人以上が下肢切断に至るといわれている.また,糖尿病網膜症は後天的失明の原因として,緑内障に次いで第2位となっている.さらに,糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り,透析を余儀なくされる.糖尿病腎症を原因として新規に透析導入される患者数は毎年16,000人にものぼり,透析の最大原因となっている.
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