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特集 脳・心・腎連関を見逃さない
Ⅱ脳・心・腎連関各論
症例から学ぶ脳・心・腎連関
The case report of cerebro-cardiovascular renal connection
柳澤 紀子
1
,
伊藤 貞嘉
1
1東北大学大学院医学系研究科 腎・高血圧・内分泌学分野
キーワード:
①脳・心・腎連関
,
②strain vessel
,
③脳血管疾患
,
④CVD
,
⑤微量アルブミン尿
Keyword:
①脳・心・腎連関
,
②strain vessel
,
③脳血管疾患
,
④CVD
,
⑤微量アルブミン尿
pp.345-348
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101360
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はじめに
われわれの社会は,高齢化・高血圧や糖尿病患者の増加に伴い動脈硬化を基礎とした多臓器疾病合併例が多くなってきている.特に慢性腎臓病は脳・心血管疾患の独立した危険因子であり,脳・心・腎連関として注目されている.
穿通枝は,中大脳動脈などの太い血管から直接分枝して,基底核などの生命維持の根幹にかかわる部位へ血液を運ぶ細動脈である.このような構造は循環不全時に血流を維持するために欠かせないものである.このような細動脈をstrain vesselと呼んでいる(Box 1)1).たかだか数十μmの細い血管が大動脈と同じくらいの血圧に曝され,かつ,短い距離で大きな圧較差を支えなければならないため,高血圧時には傷害されやすい部分でもある.腎臓にもstrain vesselがあり,脳・心・腎連関の基盤となっている.
腎臓の分野では,尿蛋白の意義,特に微量アルブミン尿が脳血管疾患および心血管疾患(cardio-vascular diseases ; CVD)イベントと深くかかわっていることが注目されている2, 3).微量アルブミン尿および蛋白尿がstrain vesselの傷害を反映すると考えると,脳血管疾患やCVDとの関連の理解が得やすい.高血圧性脳出血は穿通枝領域に起こり,ラクナ梗塞や白質の虚血病変も穿通枝の病変である.冠循環においても傍髄質糸球体や穿通枝と同様の血行動態が見られる4).
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