2025年を見すえた心不全診療ロードマップ 突破口はどこにあるのか 臓器連関をどう理解するか
心腎連関メカニズムと診療上の対策
森 建文
1
,
大場 郁子
,
古庄 正英
,
小泉 賢治
,
伊藤 貞嘉
1東北大学 大学院医学系研究科腎高血圧
キーワード:
疾患モデル(動物)
,
腎循環
,
腎髄質
,
心不全
,
体液
,
ナトリウム利尿
,
薬物反応性低下
,
利尿剤
,
血液浄化法
,
腎機能障害
,
心腎症候群
,
高血圧-食塩感受性
Keyword:
Body Fluids
,
Disease Models, Animal
,
Drug Tolerance
,
Diuretics
,
Heart Failure
,
Kidney Medulla
,
Natriuresis
,
Renal Circulation
,
Renal Insufficiency
,
Cardio-Renal Syndrome
pp.449-454
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014113891
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心臓と腎臓には機能的連関があり,軽度の慢性腎臓病でも心血管病のリスクは高まり,心不全の病態では腎機能の低下は進行しやすい.レニン-アンジオテンシン系,カテコラミンおよびバゾプレシンなど心腎共通の体液調節因子が存在し,共通の臓器障害機序をもっている.体液因子のほか,心不全の病態では循環動態を介した心腎連関が存在する.心不全の病態では血圧の低下により腎血流が減少する.とくに腎髄質血流は血圧に強く依存することから,血圧の低下により,腎髄質血流の減少がみられる.また,下大静脈圧の上昇により腎静脈圧が上昇すると,腎うっ血により腎虚血とともにナトリウム(Na)利尿が障害される.これにより体液貯留が加速し,心腎間の悪循環が生じる.利尿薬はこの悪循環を改善させる薬剤であるが,心不全の病態ではしばしば利尿薬抵抗性がみられる.そのため,しばしば高用量の利尿薬を要する.従来多用されているfurosemideでは,腎機能低下が進行することがある.V2受容体拮抗薬は血管側より作用するため,腎機能低下症例でも効果を発揮する可能性がある.また,臓器保護を狙える利尿薬として期待されている.減塩もまた,臓器保護を期待できる体液調整法であり,患者教育も重要である.
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