特集 行動変容を促そう
行動変容の基礎理論
松島 雅人
1
1東京慈恵会医科大学総合診療部・臨床研究開発室
キーワード:
変化のステージモデル
,
健康信念モデル
,
自己効力感
,
計画的行動理論
,
動機付け面接法
Keyword:
変化のステージモデル
,
健康信念モデル
,
自己効力感
,
計画的行動理論
,
動機付け面接法
pp.260-263
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100265
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従来の成人病という概念は生活習慣病(life style related disease)と言い換えられている.生活習慣病という概念は,これまで成人病対策として病気の早期発見・早期治療を目指す二次予防に重点を置いていた従来の方策に加え,生活習慣を改善することによって健康増進・疾病発生予防,すなわち一次予防対策を推進することを明確にしたといえる.つまり,生活習慣を基盤とした疾病予防には,行動変容が有効な手段でなければならない.
さらに,糖尿病などの生活習慣病をすでに発症してしまった患者さんについても,行動変容がその後の合併症を予防するために,必須であることは間違いない.しかし従来は(少なくても筆者が学生だった頃には),糖尿病の治療といえば,単に食事療法と運動療法があり,それに必要に応じて薬物療法が加わる,ということを教育されただけであった.たとえば「この方の生活状況や労作環境はこうだから,理想体重1kgあたり30kcalで,1日1,840kcal,表1が何単位で...」といったことが議論の対象で,患者さんにいろいろな情報を提供しさえすれば,患者さんの行動は変わると(暗黙のうちに)教えられていた.生活習慣病について,このような情報提供型患者教育が,現在でもまだまだ多くの医療機関で行われていると考えられる.
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