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Case 30歳代男性,1型糖尿病
主訴:下腿多発性膿瘍.
現病歴:幼児期(3歳時)にケトアシドーシスで1型糖尿病を発症.以後インスリン治療を行っていた.20歳ころまでは病院に定期通院していたが,それ以後は近医で不定期にインスリンの処方を受けていた.血糖コントロールは不良.2年前にインスリン中断による自殺企図あり.2カ月前より下腿に膿瘍を生じるようになり皮膚科で切開などの処置を受けていたが治癒せず,血糖コントロールも悪いため入院となった.インスリン注射は1日2回.HbA1C;10.7%,随時血糖値;419 mg/dL.
家族歴:糖尿病なし.
既往歴:足膿瘍.
身体・検査所見:身長162 cm,体重48 kg,BMI 18.3,血圧120/70 mmHg,血中Cペプチド<0.1 ng/mL,尿中Cペプチド:<0.1 mg/gCr,尿蛋白陰性,尿アルブミン79.8 mg/gCr,網膜症AII,神経障害なし.
入院時の患者の発言:小さいときからインスリンを打っていた.周囲に糖尿病の子どもは誰もいなかった.インスリンを打っているのに,甘いものをがまんしろと言われて,心がねじれて隠れて食べた.朝早く病院に通い,夏休みはコントロールのために入院.いやで,いやで,仕方がなかった.最近は御飯もケーキも酒も普通の人と同じにしていた.食品交換表について習ったことがあるけど,神経質になるだけで,知らないほうがいい.合併症の話や写真ももう見たくも聞きたくもない.わざわざ自分で痛いことしたくないのでインスリンも血糖測定もたくさんだ.酒を飲むときだけインスリンを調整していたが,血糖を測らされるから医師には相談していない.最初のとき,いっそ死なしてくれていたらと思う.今回の入院は,足だけ治してくれればいい.糖尿病の治療は放っておいてほしい.
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