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Case 1
高用量の経口血糖降下薬内服中の血糖コントロール不良症例
54歳,女性,主婦.41歳時に糖尿病と診断され,翌年からオイグルコン(グリベンクラミド)内服開始となった.その後も血糖コントロール不良で,オイグルコン10 mg,ベイスン(ボグリボース)0.9 mg,メルビン(メトホルミン)750 mgと増量され,多剤内服にても改善しないため当科を紹介され受診した.口渇,多尿,倦怠感の自覚あり.
身長162 cm,体重84 kg,既往最大体重90 kg(40歳),既往最低体重42 kg(20歳).母親が糖尿病.血圧120/80 mmHg.身体所見に異常なし.眼底所見正常.左右アキレス腱反射減弱.空腹時血糖値215 mg/dL,HbA1C 10.3%,IRI 9.59 mU/mL,尿蛋白(-),尿Alb 5.6 mg/gCre.
メルビン以外の内服薬を中止し,インスリン治療を導入したところ,自覚症状は数日で消失した.生活指導により減量も進めながら,一日インスリン総量は30単位以上となったが,血糖値が安定してまもなくからインスリン必要量が減っていった.総量16単位になったところでスターシス(ナテグリニド)270 mgに変更し,変更6カ月後の体重78 kg,FPG 133 mg/dL,HbA1C 6.6%と血糖コントロールは安定している.
Case 2
糖尿病症状で受診した患者へのアプローチ
58歳,男性,タクシー運転手.6カ月前の健診で血糖値軽度高値を指摘されていたが放置していた.仕事中に缶コーヒーを1日で5本程度飲むようになってから口渇,多尿,倦怠感が出現するようになり,次第に増悪していった.手足の指もつるようになり我慢できず来院した.
身長176.5 cm,体重73 kg.既往最大体重74 kg(58歳).糖尿病の家族歴なし.血圧106/60 mmHg.身体所見に異常なし.眼底所見正常.アキレス腱反射,振動覚正常.空腹時血糖値235 mg/dL,HbA1C 10.9%,GAD抗体(-),尿ケトン体(-),尿蛋白(-),尿Alb 11.2 mg/gCr.
2型糖尿病でインスリン非依存状態と考えた.缶コーヒーの中止を指示し,同日に糖尿病食24単位の食事指導を行った.仕事の都合で入院はできずインスリン注射も拒否したため,症状改善を目的にアマリール(グリメピリド)1 mgの内服を開始した.糖尿病症状は数日で消失し,2か月後にはFPG 103 mg/dL,IRI 3.12 mU/mLと著明な改善を認めた.その後,アマリール0.5 mgに減量し,6カ月後HbA1C 6.2%と良好な状態を維持している.
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