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肥満を伴う耐糖能障害者(IGT)に生活習慣介入を行うと2型糖尿病の発症を遅延することができる.
肥満を伴うIGTに対して生活習慣介入をすると2型糖尿病の発症を遅延することができるのか
米国で行われたDPP(Diabetes Prevention Program)は,肥満を伴うIGTにおける2型糖尿病の発症予防,あるいは遅延を目的に北米の27施設で行われた大規模臨床試験である.対象は3,234名(女性が68%,少数民族が45%,平均年齢51歳,平均BMI 34)である.対象となった症例は,「低脂肪食(1,200~1,800 kcalの低エネルギーで脂肪割合25%未満)と1週間に150分以上の運動をすることで体重を7%低下させる」ことを目的に,1)生活習慣の積極的な改善を行う生活習慣介入群(1,079例),2)メトホルミン(850mg錠)の1日2錠投与(開始時の1週間は1日1錠投与)により薬物療法を行うメトホルミン群(1,073名),3)食事や運動に関する一般的なアドバイスのほかはプラセボを投与される対照群(1,082名),の3群に無作為に割り付けられた1).
生活習慣介入群は,最初の24週間は専属のライフスタイルコーチが食事・運動・行動修正に関して16回のセッションを持ち,介入目標の達成をめざした.このコアカリキュラムの前半は食事と運動に関する基本的な知識と自己管理の技術が盛り込まれている.後半はより行動科学的な技術の習得を目標としている.ライフスタイルコーチは主に栄養士で,一人のコーチが20人を担当し,参加者と頻回に接触する.コーチ同士も1年毎にどのような活動をしているかの確認も行う.その後は維持期として毎月個別ないし集団で面談あるいは電話(E-mailも含む)で行動変容を強化した.最初の24週間で7%の減量目標を達成した者は50%であったが,最終時点では38%となった.生活習慣介入群とメトホルミン群の体重はそれぞれ5.6kg,2.1kg減少したが,対照群には変化はみられなかった.3年後の糖尿病の累積発症率は,対照群では29%であったのに対し,メトホルミン群で22%,生活習慣介入群で14%であった(Box 1).
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