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特集 糖尿病診療のエビデンス&プラクティス―欧米のエビデンスを日本でどこまで活かせるか
1型糖尿病患者に関するエビデンス&プラクティス
1型糖尿病患者の心理・行動学的ケアの有効性
The effectiveness of psychological and behavioral assistance for the people with type 1 diabetes
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
キーワード:
①DCCT
,
②QOL
,
③心理・行動学的援助
Keyword:
①DCCT
,
②QOL
,
③心理・行動学的援助
pp.701-703
発行日 2006年9月15日
Published Date 2006/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100298
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1型糖尿病患者の治療実行度や治療結果に心理・行動学的介入が有効であることを証明した大規模臨床試験は
DCCT(Diabetes Control and Complications Trial:糖尿病のコントロールと合併症に関する臨床試験)である.本試験が立案されて25年,結果が発表されて13年が経過しようとしているが,糖尿病の領域で初めて治療にエビデンスを持ち込み,最も大きいインパクトを与えた試験であることに変わりはない.
本試験は1型糖尿病患者1,441人を対象にし,頻回注射やインスリンポンプ治療と頻回血糖測定,および濃厚な食事療法指導などを行う強化療法群と,当時の標準的治療法であった混合2回注射法―通常療法群―との比較を行うというデザインであった.10年間にわたるフォローアップがなされ,強化療法群はHbA1C 7%を維持したが,通常治療群のそれは9%であった(Box 1).その結果,慢性合併症の発症率は低下し,網膜症を例に取ると発症危険率を76%低下させることができた.この結果を受けて1型糖尿病患者では,厳格な血糖コントロールが慢性合併症の発症を予防ないし遅延させることが確信できたのであり,その方法としての強化療法の有効性が証明されたのであった.
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