JIM Report
症例報告をプロブレム別に発表できる場を願って
木村 琢磨
1
1国立療養所東埼玉病院内科
pp.1144-1145
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903421
- 有料閲覧
- 文献概要
一般医・Generalistは,総合診療の理念に基づいて,臓器別や既存の診療科の枠にとらわれないスタンスで,患者の持つプロブレムを解決するために日常診療に携わっている.そして,現実的には,各施設の狭間的診療やマルチプロブレム患者など,いわゆる"行き場のない患者"を診る機会も多いといえよう.
そのような現状のなかで,筆者は当初から臓器別の専門領域を持たずに研修を続けているが,しばしば非常に興味深い症例に遭遇することもある.それは,心理・社会的問題をはじめ,倫理的問題を含むものや,各臓器別の診療科での問題が相互に関係し,臨床上のピットホールとなっている症例などである.しかし,そのような症例の興味深さを,該当する専門医の先生方に相談しても,私の感じている内容が容易に伝わらないことも多い.さらに,それらの症例を指導医の教示を得て学会で症例報告として発表しようとしても,まずその発表の場に乏しく,幸運にもその機会が与えられても,果たして経験した症例を発表する場として適切だったのか,単に自己満足に終わっているのではないかと考えさせられてしまうことがある.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.