特集 めまいにどう対応するか
コメント・患者体験記から学んだこと
伴 信太郎
1
1名古屋大学総合診療部
pp.816
発行日 1999年9月15日
Published Date 1999/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902814
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この体験記から,私は3つのことを学んだ.1つは,患者さんにとっての「めまい」の深刻感である.患者の身にならないと,病の持つ深刻さはなかなかわからない.このことはいつも胆に銘じておくべきことだが,改めて再認識させられた.2っめは,医師としてはどのような段階であっても,今後の段取り(予定)について常に説明をしておく必要があるということである.このような説明は,医師―患者間のコミュニケーションの基本であるが,それを欠くと患者さんがどのような不安を感ずるかがこの一文によく表されている.3つめは,救急室のベッドにナースコールを,という意見である.これは意外な盲点であった.救急に来られる患者さんの多くは付き添い者がいるので,その必要性は日頃あまり意識しないが,1人で辿り着いた人にとっては確かに必要である.
最後に,多少なりとも医学を知っているが故の不安がこの人には重なっている.医学的にもっと精通していればこの症状で緊急CTは必要ないということがわかると思われるが,CTを撮らずに果たしてこの患者さんを満足させられたかということには大いに疑問が残る.情報化社会では,このような状態に陥る患者さんが増えることは避けられないであろう.
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