特集 がんの集学的治療をどうするか
肝臓癌
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菅原 克彦
1
Katsuhiko SUGAHARA
1
1山梨医科大学外科
pp.179-181
発行日 1984年2月20日
Published Date 1984/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208551
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癌治療法は手術療法,放射線療法,化学療法が主流で,免疫療法,内分泌療法は現在のところ脇役的であるが,厳格な適応の下ではそれぞれ治療効果がみられている.しかしながら,それぞれの効果には限界があるので合併療法が行われたが,さらに癌患者を治療する立場から集学的治療法があらためて提唱されるようになつた.すなわち各分野の専門家が一体となつて各診療科に独自の治療法の限界を克服する方法で,心療面の配慮も強調された総合的治療法であり,そのためには基本的治療法の確立のみならず診療組織の体系化が重要である.進行するに従い複雑に変化する癌と担癌生体の病態に適合した治療法を巧みに選択し,しも単独の治療法よりすぐれた効果が立証されねばならない.
原発性肝細胞癌(以下肝癌と略)に対する治療法は手術療法,動脈を介した治療法(肝動脈結紮,カテーテルを用いた塞栓療法),門脈枝結紮療法,化学療法,放射線療法があり,肝癌の病期と病態に応じた適応の下に肝臓という臓器特異性を考慮して選択され,それぞれ効果が認められてきた.切除療法単独の効果は長期生存例が報告され主流であることに疑いはないが,適応が制限されるため限界があるので,他の治療法の長所を組み入れた集学的治療法が当然ながら導入されるべきであり,この点,消化器癌でも他の管腔臓器癌の治療と趣を異にしている.
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