巻頭言
リハ患者体験記
堤 孝子
1
1福岡療育支援センターいちばん星
pp.808-809
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200983
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2年前に交通事故に遭い,救急車で搬送された。幸い,命に別状はなく,寛骨臼骨折で整形外科入院となった。約2カ月の入院と告げられ,職場を離れることへの不安が大きかったが,腹をくくってここで仕事をしようと考え,個室を希望した。自ら望んだことではないが,命に別状がなく,予後に大きな課題を残すこともないこの受傷という現実を,私は楽しむことにし,ここから私の楽しいリハ患者体験が始まった。
主治医にPTであることを伝え,大まかなリハ計画を自分で作成し,その計画と治癒を一致させることが私の目標となった。恥骨,坐骨,仙骨の骨折による,屈筋・内転筋など股関節周囲筋群の痛みと筋力低下が主症状であったが,痛みによる緊張・恐怖・逃避姿勢などは,本人にしかわからない貴重な体験であり,セラピストに最も配慮してほしい症状であった。痛みというものがこれほど運動機能そのものを低下させてしまうものだとは,体験しないとわからないものだ。約1週間は体位交換に介助が必要であったが,これも介助技術と配慮が大きく影響する。介助者により,患者側の痛みの発生や緊張感の度合いがこれほど違うものかと腹が立ったり感謝したり,毎回の体交も楽しみになってきた。
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