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特集 コミュニケーション上手な医師になる
コミュニケーション・スキル
リエゾン精神医学
Liaison Psychiatry
保坂 隆
1
1東海大学精神科
pp.803-805
発行日 1995年9月15日
Published Date 1995/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901614
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■患者本人だけが病名を知らない場合
患者 42歳,主婦.
上腹部痛のために内科に入院したが,腹部CTにて肝臓に腫瘤が見つかったために,外科・婦人科などに転科しながら精査を続けたところ,卵巣癌の肝転移であることが判明した.しかし家族の希望により,患者自身には何も説明されなかった.患者は徐々に抑うつ的になり食事も摂らないようになったが,それに対して主治医・看護婦・家族は「がんばって食べなければ」と繰り返すだけであった.家族も患者自身には何も話せずに気まずいムードになってしまうため,面会も少なくなりがちであった.患者自身から病気について質問されることを無意識的に回避iして,主治医・看護婦も病室を訪れる時間が短くなるような傾向もあった.そんな時,患者が個室病室の窓からベランダに出ているところを外から警備員に見つけられて急報されて事なきを得た.そのため,主治医はあわてて精神科依頼をした.面接のなかで,患者は何か重大な病気にかかっていることは感づいていたが,自分の病気についてまったく知らされないことに抗議する意味で拒食するようになっていたことが明らかになった.さらに,自分が知らない何か重大なことを知っている家族とも,ギクシャクした関係になっていることも表現した.
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