精神科医療 総合病院の窓から・5
リエゾン精神医学とは
広田 伊蘇夫
1
Isoo HIROTA
1
1同愛記念病院精神科
pp.698-699
発行日 1991年8月1日
Published Date 1991/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903685
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[リエゾン精神医学の領域]
最近,リエゾン精神医学の論議が多くみられるようになっている.もともとが1930年代から,アメリカを中心に発展してきた精神医学の一分野のことである.わが国でも総合病院の精神科によっては,すでにその活動が日常化しているところもみられる.そこで今回は,この分野の動きに触れてみたい.ことのはじめに,いささか硬苦しくはなるがリエゾン精神医学の活動領域を紹介しよう.
リエゾン精神医学というのは,総合病院をベースにする精神医学の一分野であり,その黎明期から,精神的問題を抱える患者について,担当医の求めに応じて,精神科医が診断・治療の助言を行うことを中心的課題としてきたし,現在もなお,この側面が中心テーマであることに変わりはない(狭義にはこれをコンサルテーション精神医学と呼ぶ).が,臨床経験の積み重ねととともに,その領域は拡大してきており,今日では活動の局面を担当医の要請に限定するだけでなく,精神科医がはじめから他科のスタッフの診療活動に定期的に参加し,患者の抱く精神的問題を早くみつけ出し,対応策を検討し合い,更には臨床場面でしばしばみられる患者とスタッフ,また時には患者と家族との間の感情的わだかまりをほぐし,より効果的かつ安定した治療環境を作り出してゆくことを目指すようにもなってきている(こうした活動も含めて,これをリエゾン精神医学と呼ぶ).
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