診察術の歴史・12 The Evolution of Physical Diagnosis
レンネックと間接的聴診法の発見
吉原 幸治郎
2
Gude JK
1
2佐賀医科大学総合診療部
1University of California-San Francisco, Medicine & Community Medicine
pp.187-188
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901113
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フランスの卓越した臨床医
レンネック(Rene-Theophile-Hyacinthe Laennec, 1781~1826)はフランスの卓越した臨床医であり,また病理学者であった.彼はシャリエ病院での研修医時代に3人の医師(Corvisart JN, Bayle GL, amd Dupuytren G)の影響を強く受けた.特にCorvisartにAuenbruggerの提唱した打診法を1)Bayleには直接的聴診法を学んでいる2)1816年,レンネックはネッカー病院へ移り,そこで多くの呼吸器患者を診察した.そして1819年に「Traitede I'auscultation mediate(間接的聴診法概論)」の中で聴診器による間接的聴診法を初めて世に紹介したのであった3)その後,彼は45歳の若さで亡くなったが,その死因は彼が熱心に学んだ肺結核であった4).
19世紀はじめのフランスは,患者は病気の種類ごとに病院へ入院する傾向があり,レンネックの働いていたネッカー病院は胸部疾患の患者であふれていた.1816年,彼は間接的聴診法を発見するのであるが,その時の状況を次のように記載している.
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