ホスピタル・メモ 放射線機器
リニアック
尾内 能夫
1
1癌研究所物理部
pp.219
発行日 1978年3月1日
Published Date 1978/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206476
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リニアアクセラレータ(Linear ac-celerator)を略してリニアックあるいは頭文字Linとacを結びつけてLinacと書いて,ライナックまたはリナックともいう.日本語では線型加速器あるいは直線加速器と呼んでいる.リニアックは高周波電圧あるいは電波を用いて陽子あるいは電子などの荷電粒子を直線的に走らせながら加速する装置で,加速する粒子の種類により,線型陽子加速器および線型電子加速器がある.米国のロスアラモスの国立研究所では長さ800mの線型陽子加速器で800MeV(8億電子ボルト)に加速した陽子を炭素のターゲットにあてて負のパイ中間子を発生させ,これを癌の治療に用いている.しかし,日本では,医療用リニアックといえば,普通30cmから2mくらいの長さの加速管を用いて,電子を4MeVから15MeVくらいに加速する線型電子加速器のことで,電子を直接腫瘍に照射する電子線治療と,電子を金のターゲットにあててX線を発生させ,これを腫瘍に照射するX線治療とに用いられている.
リニアックの原理は1925年頃に提唱されたが,陽子や電子の加速が実現したのは戦後で,第2次世界大戦中にレーダーのための超短波技術が発展したからである.
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