連載 思い出すけっち[あの人、あの時、あの言葉]・12
歴史を振り返る中で生きざまを問い直す
高橋 政子
1
1看護歴史研究会
pp.1210-1211
発行日 1989年12月1日
Published Date 1989/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922429
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激動の時代の中で
昭和7年,私は郷里の山陰で旧制女学校を卒業しました.前年の9月には満州事変が,年頭1月には上海事変があり,郷土部隊の一部が派遣されましたから,新聞に報道される戦況に対し市民も敏感になり始めた頃でした.
卒業直前の3月10日は日露戦争の奉天占領を記念した「陸軍記念日」で,例年軍事的行事が行なわれていました.ところがそのい朝,市内の目抜き通りを中心に,電柱や板塀などに戦争反対を訴えるビラが貼られていたと言うのです.私は見ることはできませんでしたが,それがアカの仕業であり,しかも私の兄が関係しているという噂がどこからとなく流れてきました.
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