JIM Report
文化とInformed Consent
宮地 尚子
1
1京都府立医科大学公衆衛生
pp.479-481
発行日 1993年5月15日
Published Date 1993/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900854
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[なぜ最近論議を呼ぶようになったのか]
Informed Consentについては,既にあちこちで聞かされて,耳にたこが出来たという人も多いのではないだろうか.日本医師会生命倫理懇談会の「説明と同意」についての報告1)の後,脳死・臓器移植論議に絡んで一気に名前が広まったようだ.脳死論争の思いがけない副産物である.
もっともInformed Consentが最近やかましく叫ばれるようになったのが,単なる流行だとは思いたくない.Informed Consentとは,患者中心の医療を考えていくうえで,非常に重要な概念だからだ.アメリカの医療倫理においてもInformed Consentはスター的存在で,ここ数十年の医療,特に医師患者関係の変革に最も影響を及ぼした概念であり,他の様々な生命倫理問題を考える際にも理論的な基本ルールになる.アメリカの医療倫理で,現在広く認められている考え方は,Respect for Autonomy, Beneficience, Nonmaleficience, Justiceという4つの原則の元に議論を立てていくというものだが,この中でも特に,自律の原則が最優先されており,それを具体化したのがInformed Consentだからだ.
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