連載 感染症 Up to Date・32
[エイズの現場でしばしば使われる言葉]インフォームド・コンセント Informed Consent(その1)
林 素子
pp.428-429
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901782
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はじめに
近年,エイズや臓器移植の問題などから「インフォームド・コンセント(Infromed Consent)」という言葉が医療現場では流行語のように用いられるようになりだした。また,メディアを通して,一般の人たちの間でも身近な言葉となり,市民権を持ち始めてきている。しかし,医療現場においても告知と混同して用いられたり,なぜ他の検査では特にインフォームド・コンセントは必要ないのに,HIV抗体検査の際にはインフォームド・コンセントを行う必要があるのか,というようなこともしばしば聞かれる。また,多くの医療者の間では,「インフォームド・コンセントは医療裁判のための予防策の1つである」とする誤解もある。
インフォームド・コンセントは,一般には「説明と同意」と訳されている。文字どおり訳せば,まさにそのとおりである。「インフォームド(informed)」は,「説明された」という受け身の形であり,「コンセント(consent)」は,「納得する」あるいは「了承する」という意味である。現場では,文字どおりの意味における概念だけで,インフォームド・コンセントが用られているようである。
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