今月の主題 最新の肺癌診療
最新の治療
肺癌治療におけるlnformed consent
久保寺 いづみ
1
,
浦 ユリ子
1横浜市立市民病院
pp.490-492
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909622
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医療を進める上で,Infomed consent(以下IC)を求める声は最近とみに高まり,医師の裁量一つで治療方針が決められ患者はそれに従うといった時代は過去のものとなりつつある.とくに肺癌の治療法を考えると化学療法単独ではほとんど治癒を期待できず,しかも副作用の程度は強い.また放射線照射や外科手術も他の悪性腫瘍に比べ,満足するような成績は得られにくい.治療後の呼吸機能の低下やそれに伴う日常活動の制限も深刻な問題である.このような治療を選択するとき,患者本人のその人なりの人生観が反映される必要があるのではないだろうか.また患者の治療に対する積極性を維持する上でもICがきわめて重要といわれている1).ICをとる上では,病名の告知はもとより,それ以外の情報も提供しなければならず,米国ではこれらの情報を本当に患者が理解できているかについても問題提起されている2).しかし,日本では病名の告知自体がほとんどなされておらず,家族に告知した上で本人には偽りの病名を告げ,治療しているのが大部分であるので,以下本稿ではICの前提条件となる癌の告知について述べる.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.